2010年02月06日

『水の古道』南投県地利村−1

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【写真説明】濁水渓谷の壮大な景観を二枚。左写真はブヌン族バクラス社上方より卓社大山を望んだもの。バクラス社跡は同写真左手前の河岸。幾つかの建造物が見える場所。右写真は俗に「土虱湾」と呼ばれる濁水渓が削り出した渓谷美の一つ、16号線から望んだ。土虱とは通常鯰(なまず)とされているが、日本の鯰とは異なると思う。

今は恐らくは寧ろ中国人観光客でさぞかし賑わっているのではないかと想像する日月潭、その南西に位置する水里は各々南、東から流れ込んでくる陳有蘭渓と濁水渓の合流地点に広がる町である。ざっと言うと、陳有蘭渓、濁水渓のそれぞれの源頭は玉山、能高山群峰である。

この町から陳有蘭渓を遡る自動車道が省道21号線、他方濁水渓を遡るのが16号線、やがて眼前上空を遮り出すのが、前者が玉山(3,952メートル:百岳1号)連峰、後者が卓社大山(3,369メートル:百岳37号)連峰である。前者の事情は熟知している私だが、後者に関して知り始めたのは実は昨年暮れ近くになってからである。色々驚かされたのではあるが、これから書くことはその内の幾つかである。

因みに16号線と21号線の分岐には今でも日本時代に建てられた「新高山登山口」の道標が残されている。これも水里を形成する小さな、私にとっては重要な景観である。

16号線は途中が何時かの台風で被害を被り現時点では通行止めであり、濁水渓北岸を走る16号線をすぐに対岸の人倫村(日本時代は同じ漢字表記、或いはランルン社)に渡り、北岸に位置する地利村に抜けていく。

16号線の終点は台湾一のスーパー林道、丹大林道であるが、16号線と丹大林道を繋ぐ現代架橋技術を駆使した(?)はずの丹大吊橋はこれも何時かの台風で断裂してしまい、今は車は入れない。ここには嘗てこの吊橋の代わりに「孫海橋」という普通のコンクリート製の橋が掛かっていたが今は跡形もない。孫海とは稀大の大泥棒の名前である。丹大林道はもともとこの御仁が泥棒を働く為にこさえられたものだが、山中奥深くで盗む物と言えば二つしかない。樹木と石である。孫海の場合は前者、稀大という冠称が付くからには台湾では中国国民党との結託が前提だ。

石はどんな石ころでも大量に盗み出せばそれなりの金儲けもできようが、人が古来最も懸命になるのは言わずと知れた金塊である。このブログでも以前紹介したことがある。ここにも熱心な方がおられ、今だに掘り続けておられる。日本人であるこのブログの読者が現地に行けば、「本当は何処なんだ、正確な埋蔵地点を教えてくれ」と懇願されるはずである。以上は冗談ではない。日本軍が埋めた金塊伝説はいまだに台湾では根強い。樹木と石、度が過ぎるとその帰結は自然破壊、それは土砂崩れというしっぺ返しを食らうことは今なら子供でも判る。

さて、前置きが余りにも長くなり過ぎた。今回の記事のタイトルは「水の古道」であるが、濁水渓のことを書こうというわけではない。あくまで地利村で見聞した日本時代に開削された水路のことである。

ついでにもう一つ前置きであるが、何故地利村を訪ねたか?関門古道西段の一部が残っていると聞いたからである。邦人で初めて玉山頂上を踏んだという長野義虎も、又彼の森丑之助も踏査したと謂う関門古道は台湾最後の秘境と言われている。実際の古道西段入口は集集付近だそうだが、現代的な意味では地利村となっている。関門古道は稿を別にして紹介する予定である。(続く)
posted by 玉山 at 00:00| 台北 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 『水の古道』バクラス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
メイウェンティさん、水里の位置の誤記に対するご指摘ありがとうございました。東西南北と左右、ちょくちょく間違いますね。今後とも気を配ってはいきたいですが、完全にとはいきませんので、お気付きの際はご指摘お願い致します。(了)
Posted by 玉山 at 2010年02月07日 08:47
了解しました。

方向認識、“同じ穴のムジナ”です。私は地図好きなので東西南北に関してはまだ良いとしても、左右に関してはお手上げですので。

地利で聞かれたという『水の古道』、更に『関門古道』、とても楽しみにしています。地図上の地利、卓社大山、東群大山、郡大山に囲まれた場所には旧社の名前が目白押しです。この辺りはブヌン族の故郷だと思いますが、嘗てのそこでの生活を想像すると胸が高鳴ります。
Posted by メイウェンティ at 2010年02月08日 21:45
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