


【写真説明】恐らく藤枝国家森林遊楽区入口(右写真)まで乗り入れている自動車道の一部は未だに修復中(左写真)でかなり歩かされるだろうと覚悟していたら正にその通りだった。遊楽区入口に至るまでそのまま工事中の自動車道を三キロ弱歩かされる。それが嫌であれば、自動車道途中に出入口が設けられている遊歩道(中央写真;右奥に写るのが東藤枝山)に入り小山を一つ越える方法がある。この遊歩道も園区の一部ではあるが、入園せずに歩けるようになっている。筆者は往きは後者を帰りに前者を選んだが酷く疲れた。園区入口から更に園区外側を走る林道を歩かされ、民家を一軒横切り、やっと秘密の園区入口(下掲写真)に至る。同写真に写る二基の立札は、林務局に依る罰金六千元の公告。
弊ブログの閲覧者で京都大学技術職員の方から、日本のゴールデンウイーク中にメールをいただいた。その中で旧京都帝国大学台湾演習林と六亀特別警備道の事が述べられていた。何よりも驚いたのは、同大学保管資料の整理中に、六亀「警備線道路」が書き込まれた当時の五万分の一地形図を発見されたこと、更に、ご本人がその警備線を基にグーグールマップ上に引き直されたことだ。筆者の知る限り、六亀特別警備道全線が引かれた地図を案内した出版物は存在しないかと思う。
現在旧京都帝国大学台湾演習林跡地に簡便にアクセスする方法は、扇平生態科学園と藤枝国家森林遊楽区のどちらも一般に開放された林務局管轄の施設を訪ねることだが、2009年8月のモーラコット台風以降、両園区とも未だに一般人の入園は禁止されている。以前の投稿記事でも述べたように、特に扇平への立入禁止が、六亀警備道への探訪を随分不便なものにしている。
藤枝遊楽区の方は、高雄市郊外のレクリエーション・センターとしては人気があったので、長引く閉園にしびれを切らした人々は、抜け道を作り遊楽区内に進入していると云う公然の秘密を耳にしたのは、確か二年程前だった。爾来、筆者自身もその抜け道を伝い入園してみたいものだと考えていた。最近になりその機会があり、その抜け道を伝い実際入園してみた。
その噂を聞いた時は、一般の行楽客がそうしているものだと勝手に想像していたのだが、実際その抜け道を利用する人々は同遊楽区内にある最高点、東藤枝山(標高1,804メートル)を目指すハイカーだということが判った。台湾小百岳の一座なのでこの山を目指すハイカーは多いのだ。この抜け道はかなりの旧勾配で一般行楽客向けとは言い難く、抜け道の入口には警察署に依る罰金規定を謳った警告板が設置されている。但し、実際警官が巡邏している形跡は無かった。
筆者自身が藤枝遊楽区を訪れたのはもう十五年ぐらい前になる。その時は古道に興味を持ち始める前であり、同遊楽区のバックグラウンドにも興味が無かった。それでも、微かな記憶で、園区中の表示板に「藤枝駐在所跡地」があり、多分そこまで足を延ばたかもしれないが、その記憶には全く自信無し。今回、冒頭で紹介したメールを貰った後、藤枝遊楽区を再訪してみようと云う気になったのは、藤枝駐在所跡地と現況を再確認しようと目論んだからだ。(続く)

【関連する記事】
- 六亀特別警備道−54:第1宿「品川」−2
- 六亀特別警備道−53:第1宿「品川」
- 六亀特別警備道−52:第12宿「沼津」−2
- 六亀特別警備道−51:第12宿「沼津」
- 六亀特別警備道−50:林務局護管所(廃棄)
- 六亀特別警備道−49:第11宿「三島」
- 六亀特別警備道−48:第10宿「箱根」
- 六亀特別警備道−47:第9宿「小田原」
- 六亀特別警備道−46:第8宿「大磯」
- 六亀特別警備道−45:第7宿「平塚」
- 六亀特別警備道−44:第6宿「藤沢」
- 六亀特別警備道−43:小関山林道
- 六亀特別警備道−42:第28宿「見附」(3)
- 六亀特別警備道−41:第28宿「見附」(2)
- 六亀特別警備道−40:第28宿「見附」(1)
- 六亀特別警備道−39:第27宿「袋井」
- 六亀特別警備道−38:バリサン警戒所
- 六亀特別警備道−37:第26宿「掛川」
- 六亀特別警備道−36:(島田、金谷、日坂)
- 六亀特別警備道−35:第22宿「藤枝」